合同会社を設立するときの定款作成のポイント

合同会社を設立することに決めたけど、会社の定款を作るのってすごく難しそう。
定款にはなにを書けばいいんだろう。

こんな悩みに答えます。
この記事の対象者は、こんなことでお悩みの方。

  • 合同会社を設立することに決めたが、定款になにを記載すればよいかわからない人。

そもそも定款ってなに?

定款とは、会社の基本的な規則を定めたものです。
株式会社だけでなく合同会社であっても会社を設立する前に必ず作成する必要がある書類です。
合同会社の設立は、法務局に登記申請をすることで設立が出来るのですが、定款も登記申請の際に必要な書類です。

定款の記載事項

定款の記載事項は、大きく2種類に分けることができます。
一つ目は、定款に必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」です。
この記載に不備がある場合は、定款が無効になり、設立登記の申請が受理されないので、注意が必要です。
二つ目は、会社の方針に応じて記載する「相対的記載事項」と「任意的記載事項」です。
これらについては、記載がなければ会社法の基本ルールが適用されることになりますので、会社法と違う運営をしたい場合に記載します。

絶対的記載事項

絶対的記載事項は次のとおりです。

  • 目的
  • 商号
  • 本店の所在地
  • 社員の氏名または名称及び住所
  • 社員の全部が有限責任社員であること
  • 社員の出資の目的及びその価額または評価の標準

以下、一つずつ説明していきます。

目的

会社の登記事項としての目的とは、「会社の営む事業」のことで、具体的に想定している事業を記載します。
一つに絞る必要はないので、最初は計画していない事業についてもできるだけ広く複数を記載しておくと、事業を変更や拡大するときに定款修正の必要がなくなります。

商号

商号とは、会社の名前のことです。
商号には「合同会社」という文字を使用しなければなりませんが、位置については商号の前でも、中や後でも構いません。
また、法律で使用を禁止されている文字が約300ほどあるなど、いくつかの制限があるので注意が必要です。
(例:銀行以外が「銀行」を使用してはならない など)

本店の所在地

定款に記載する本店の所在地は、最小行政区画までを記載する必要があります。
最小行政区画とは市区町村のことですので、具体的な町名地番まで記載する必要はありません。
(例:東京都千代田区、大阪府大阪市 など)

社員の氏名または名称及び住所

定款には、社員の氏名と住所を記載する必要があります。
また、社員が法人や会社の場合も同様に、名称・商号と住所を記載します。

社員の全部が有限責任社員であること

合同会社においては、社員はすべて有限責任と定められていますが、定款にもそれを記載する必要があります。
実質的には特に意味のない項目なので、あまり気にする必要はないでしょう。

社員の出資の目的及びその価額または評価の標準

出資の目的とは、社員が出資する金銭とその他の財産のことで、社員それぞれの金銭の出資額とその他の財産について記載します。

相対的記載事項

相対的記載事項とは、会社法に「定款の定めがなければその効力を生じない」と規定されている事項で、会社法の基本ルールとは異なるルールのことです。
絶対的記載事項とは違い、必ずしも記載は必須ではありません。
記載される主な項目は以下のようなものです。

  • 業務執行社員についての定め
  • 代表社員についての定め
  • 損益配分についての定め
  • 死亡や合併時の承継人についての定め
  • 解散の事由の定め など

これらの他にも定めることができる事項は非常に多く、会社の運営に沿った形で自由に定めることができます。

任意的記載事項

任意的記載事項とは、絶対的記載事項と相対的記載事項以外の事項で、会社法の規定に違反しない範囲で、必要に応じて記載する任意の事項です。
主なものには、「事業年度」や「社員総会を置く旨の定め」などがあります。
会社法に規定されている事項のうちで、特に社員にとって重要と思われるものを周知する意味で記載することがありますが、これも任意的記載事項と言えるでしょう。

合同会社を設立するときの定款作成のポイントまとめ

定款作成のポイントをまとめると以下のとおりです。

  • すべての「絶対的記載事項」を必ず記載する
  • 会社の運営に合わせて「相対的記載事項」と「任意的記載事項」を記載する

相対的記載事項と任意的記載事項を活用して、将来起こりうる可能性のあるあらゆる場合に対応できる定款を作成することが重要です。
会社設立後に変更する必要がないよう、どういった記載が会社の運営に適しているのかをよく考えて作成しましょう。