「ビットコインの利益に税金は支払わなければいけない?」という疑問を持っている人は多いかもしれません。
答えは「はい」です。
2017年9月に国税庁がビットコインの利益に所得税が課税されると発表しました。
そこで今回は、ビットコインなどの仮想通貨の取引での収入の所得税の課税基準や確定申告の方法を説明します。
ビットコイン取引の利益は確定申告が必要?
2016年までの確定申告には、ビットコインには明確な課税基準はありませんでした。
けれども、2017年の確定申告からは、ビットコインを売ることや使用することで発生した損益は、事業規模で運用している場合を除き、雑所得として所得税の課税対象になると国税庁がタックスアンサー(http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1524.htm)で見解を示しました。
タックスアンサーにはビットコインと明記されていますが、その他の仮想通貨もビットコインの同じ扱いになります。
たとえば、10万円で購入したビットコインを60万円で売却した場合、50万円が課税対象になります。
また、10万円で購入したビットコインで60万円の商品を購入した場合も50万円が課税対象です。
ビットコインの他に雑所得に区分されるものは、公的年金、FXや金の先物取引の収益、作家以外の人が受け取る原稿料や印税などがあります。
同じ雑所得でもビットコインの損益とFXの損益では所得税の計算方法が異なります。
また、株の売却益は「譲渡所得」なので、ビットコインで得た利益は株の売却益とも課税方法が異なります。
のちほど、ビットコインの利益に対する所得税の計算方法や税率を詳しく説明します。
ビットコインの利益の確定申告が必要になる収入額
ビットコインの利益は課税対象だと説明しましたが、所得額やその他の所得の種類によっては確定申告をする必要がありません。
ビットコインの所得の計算方法と、どのような場合に確定申告が免除になるかをまとめておきます。
ビットコインの利益の計算方法
課税対象となるビットコインの利益は以下のように計算します。
ビットコインの売却価格(または使用金額)- ビットコインの購入額 - 必要経費
所得の合計が38万円以下の場合
確定申告は、所得の種類や扶養親族の有無に関わらず、基礎控除(38万円)を受けることができます。
ですから、専業主婦など、ビットコインの取引での所得(必要経費などを差し引いた額)と事業所得などその他の所得の合計が38万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。
給与所得がある場合
サラリーマンなど給与所得があり、会社が源泉徴収と年末調整を行う場合、給与が2,000万円以下で給与所得以外の所得が20万円以下であれば確定申告は免除されます。
ですから、給与所得がある場合は、ビットコインの利益とその他の所得の合計が20万円以下であれば確定申告はしなくてもいいのです。
給与所得者も、雑損控除、医療費控除、住宅ローン控除など、年末調整の対象となっていない控除を受けるために確定申告する場合があります。
そのときは、ビットコインの利益が20万円以下でも所得として申告が必要なので注意してください。
ビットコインの利益の所得税率
ビットコインの収益は雑所得の中で、原稿料や印税と同じカテゴリーに区分されます。
そのため「総合課税(他の所得金額と合計して税額を計算する)」が適用されます。
総合課税では、累進課税制度が採用されており、税率は5%から45%と所得によって決められます。
たとえば、課税所得額(所得控除を差し引いたあとの金額)が195万円以下であれば所得税率は5%、4000万円を超える金額は45%の税率となります。
同じ雑所得でもFXや金の先物取引の利益は、ビットコインの利益とは異なり「申告分離課税(その他の所得とは分けて税金を計算する)」で所得税率は一律20.315%です。
ビットコインの利益は損益通算できる?
株、FX、ビットコインなどの取引をしていれば赤字になることがあります。
確定申告では、赤字額を他の所得の黒字額から差し引くことができる「損益通算」のルールがあります。
たとえば、上場株式の売却損が出た場合、他の上場株式の売却益や配当金などと損益通算をすることができます。
損益通算後も赤字が残る場合は、最長3年間の繰り越し(譲渡損失の繰越控除)ができます。
また、FXや金の先物取引も「雑所得」に区分される金融商品とであれば、損益通算と譲渡損失の繰越控除が可能です。
残念ながらビットコインは、損益通算と譲渡損失の繰越控除の対象ではありません。
赤字はそのまま損失となるので、節税対策として使うことはできません。
ですから、ビットコインの売却または使用で損失が出た場合は確定申告に記入する必要はありません。
ビットコインの確定申告に必要な書類
確定申告の書類には、申告書Aと申告書Bがあります。
ビットコインの所得以外の所得が給与所得や公的年金などの雑所得などの場合は申告書Aを使用します。
申告書Bは、所得の種類に関わらず使用可能です。
ビットコインの所得の確定申告がされるのは2017年がはじめてです。
添付書類などについては、税務署や税理士によっても見解が異なっています。
ですから、確定申告の際に困らないために、取引の記録はしっかり保存しておきましょう。