【仕訳例あり】Amazon転売収入は確定申告が必要?

発足時は書籍のネット販売を扱っていたAmazonですが、ネット取引の対象が拡大しフリーマーケットも扱うようになりました。

またネットを使って安く仕入れて高値で転売するせどりが、副業などで普及しAmazonにおいても活用できます。

転売で儲かった場合、確定申告は必要なのでしょうか?

確定申告が必要になるかのチェックポイント

確定申告が必要か判断をする際には、まず確定申告の基礎知識が必要になります。

今回は、確定申告が必要どうかにチェックポイントを絞って必要な知識の解説をします。

所得は収入から経費を差し引いて計算

確定申告を行うにあたっては、1年間のAmazon転売の収入だけでなくかかった経費も集計して計算しないと、税金を支払うことになった場合損をしてしまいます。

確定申告を行うにあたって、所得の金額を下記のように計算します。

収入金額 - 必要経費

Amazonでの転売の場合は、必要経費に転売したモノの購入費用や送料・販売手数料、そして転売にかかった電気代・通信費や知識を仕入れるのに使った書籍代、購入などで出かけた際の交通費などを入れることができます。

所得38万円以下の場合

上記の所得からさらに所得控除額をマイナスして課税所得を計算し、税率をかけて所得税額が計算されます。

所得控除には医療費控除や生命保険料控除など、医療費・保険料などの支払い状況に応じて活用できるものがありますが、誰でも差し引ける基礎控除額が38万円あります。

年収103万円以下は扶養の範囲内とよく言われますが、給与所得の必要経費にあたる控除額は給与収入103万円に対しては65万円あり、差引き38万円になります。

基礎控除額を差し引くと0円ですので、所得税が発生しないラインです。

給与所得だけであれば年収103万円以下が確定申告しなくてよい範囲ですが、複数の所得があれば各種の所得を合計した合計所得金額が38万円以下であれば、確定申告の必要はありません。(ただし、住民税非課税の範囲は合計所得金額35万円以下になります)

パートタイム収入とAmazon転売の収入両方ある場合、例えばAmazon転売で25万円の所得がある場合は給与年収78万円以下でないと、合計所得金額が38万円以下にならない点は気をつけてください。

勤務先で年末調整を受けている場合、給与以外の所得が20万円を超えているか?

勤務先で年末調整を受けているようなサラリーマンの場合、給与以外の「所得」(収入―必要経費)が20万円以下の場合は、本来は確定申告の対象ですが特例的に不要になります。

ただし、住民税の申告は20万円以下でも(1円でもあれば)申告義務があります。

また給与年収2,000万円超では年末調整対象外のため確定申告義務があり、Amazonの所得を含めて申告しなければなりません。

本業か副業かでも異なる所得分類

概ね本業なら事業所得 副業なら雑所得

Amazon転売が本業か副業かで、所得分類は異なります。

フルタイムで働き副業としてAmazon転売をしているのであれば雑所得、税務署に開業届を出し個人事業としてAmazon転売を行っているのであれば事業所得に該当します。

なお譲渡所得に該当する場合は、必要経費だけでなく特別控除額50万円も差し引けます。しかしせどりなどの転売においては「業」とみなされるため、たまたま売った場合にあてはまる譲渡所得には該当しないとされています。

パートタイマーとして働いている場合、Amazon転売より従事時間が多い場合は雑所得、Amazon転売のほうが時間を割いている状況なら事業所得と考えるべきです。

判断に迷うようなケースについては、確定申告期間に入る前に税務署に相談しておくとよいでしょう。

所得分類の違いがどのように影響するのか?

事業所得の場合、開業後2カ月以内に青色申告承認申請書を税務署に提出することにより「収入―必要経費」からさらに65万円(freee等の会計ソフトを使用して複式簿記により記帳を行っている場合)または10万円(簡易簿記による記帳の場合)控除されます。

なお、青色申告の控除を行った結果事業所得が0円だったとしても、確定申告をしない限り受けられない特典であることには気をつけてください。

専業主婦が青色申告の結果として合計所得金額38万円以下になった場合は、夫の年末調整または確定申告で扶養家族(控除対象配偶者)とすることができます。

また事業所得で損失が生じた場合は、給与所得などと相殺でき、給与から徴収された所得税が還付されることがあります。

雑所得の場合は上記のような特典がありませんが、その分事業所得にあたる場合は記帳義務および請求書・領収書等の保存義務があります。

Amazon転売の確定申告の仕方

確定申告の手続き・期限

1年間の所得を計算した上で確定申告書Bを作成し、翌年の3月15日まで(平成29年分であれば平成30年の3月15日)に税務署に提出します。

書面なら郵送でも可能ですし、マイナンバーカードを発行していればオンラインでの電子申告もできます。

確定申告書には青色申告決算書(事業所得で青色申告の場合)、または収支内訳書(事業所得で青色申告でない場合)を添付します。

確定申告書を提出しなかった場合はどうなる?

確定申告義務があるにも関わらず未提出の場合はどうなのでしょう?

脱税摘発に向けて、税務署が銀行調査を行うことがあります。

そこでAmazon転売の収入があると発覚した口座名義人をリストアップし、本人に対し税務調査を行い確定申告書の提出を求めてきます。

近年税務署には情報技術専門官というITに特化した国税調査官のポストを置き、ネットを活用した収入に対する脱税の摘発に力を入れているので、油断は禁物です。

この場合通常の所得税本税の他、無申告加算税が本税の15%~20%、遅延利息の意味あいがある延滞税が延滞した期間に応じて年2.7%~9.2%かかってきます。

悪質な場合は、本税の40%~50%にのぼる重加算税も払うことになります。

摘発前に自主的に申告した場合は、無申告加算税が5%に軽減されます。

Amazon転売の仕訳例

Amazon転売が事業所得に該当し、記帳を行って青色申告で65万円控除を受ける場合は、仕訳入力による取引の記帳は重要です。

例えば10,000円で売買が成立し、2017年12月25日に出荷通知が行われ売上金に計上された場合を考えます。

販売手数料などのAmazon手数料は1,500円かかるとして、下記の仕訳を入力します。

借方金額貸方金額
売掛金8,500売上10,000
支払手数料1,500

その後に指定の銀行口座に入金された場合に、下記の仕訳を入力します。

借方金額貸方金額
普通預金8,500売掛金8,500

次は販売する商品を仕入れた場合の仕訳ですが、(送料・手数料込)4,000円で購入し、後に代金を銀行口座から支払った場合、下記のようになります。

借方金額貸方金額
仕入高4,000買掛金4,000
買掛金4,000普通預金4,000

もし年内にこの商品を販売していなかった場合は、2017年の必要経費にはならず、2017年末の在庫として考慮する必要があります。

2017年と2018年の決算仕訳では、下記のように入力します。

2017年の仕訳

借方金額貸方金額
商品4,000期末商品棚卸高4,000

2018年の仕訳

借方金額貸方金額
期首商品棚卸高4,000商品4,000

その他、経費になるようなものを現金で支払っていれば下記の仕訳を入力します。

借方金額貸方金額
経費支払額現預金支払額

経費は、PC本体であれば「消耗品費」(10万円未満の場合)、電気代であれば「水道光熱費」、インターネットやスマホの通信代であれば「通信費」になります。